御劔 光の風3
思いが伝わっているのか千羅と別れたあとカルサもまたどうしようもない気持ちに包まれていた。
頼まれていた物だと瑛琳から渡された包みが目に入る。
カルサは意を決してそれを手に取り執務室をあとにしたのだ、程なく辿り着いた部屋の前で立ち止まり扉を叩く。
しかし中からの応答はなく、もう一度叩いてみても同じ反応だった。
「いないのか?」
もう既に眠っているとは考えにくい、カルサは少し考えて城内を歩き始めた。
考えられる場所からあたってみる。
その予想は的中したようで、特殊部隊の訓練場にリュナの姿はあった。
いくつも火を灯して場の明るさを保つ、カルサに言われたことを守りながら彼女は風玉を造っていた。
それは以前見たときよりも優雅で美しく、まるで舞うように造り上げていく様は踊り子のようだ。
左手に生まれた風はやがて丸くなり、シャボン玉の様に不安定に形を揺らしながら放物線を描いて右手に向かう。
リュナの右手に辿り着く頃には確かな球体となってその色を濃く出していた。
色素とは力の濃度、強い力をもって造られた風玉からは深みを感じる。
またひとつ造り上げたたところでリュナは手を止めカルサの方に振り向いた。
「陛下。」
とうにカルサがそこにいることを知っていたようだ。
会えて嬉しい、にじみ出た感情から頬を緩ませた笑顔は心からカルサを歓迎していた。
「精が出るな。」
そう言いながら近付くカルサに頭を下げてお辞儀をすると、近くにあった籠へ視線を送る。
頼まれていた物だと瑛琳から渡された包みが目に入る。
カルサは意を決してそれを手に取り執務室をあとにしたのだ、程なく辿り着いた部屋の前で立ち止まり扉を叩く。
しかし中からの応答はなく、もう一度叩いてみても同じ反応だった。
「いないのか?」
もう既に眠っているとは考えにくい、カルサは少し考えて城内を歩き始めた。
考えられる場所からあたってみる。
その予想は的中したようで、特殊部隊の訓練場にリュナの姿はあった。
いくつも火を灯して場の明るさを保つ、カルサに言われたことを守りながら彼女は風玉を造っていた。
それは以前見たときよりも優雅で美しく、まるで舞うように造り上げていく様は踊り子のようだ。
左手に生まれた風はやがて丸くなり、シャボン玉の様に不安定に形を揺らしながら放物線を描いて右手に向かう。
リュナの右手に辿り着く頃には確かな球体となってその色を濃く出していた。
色素とは力の濃度、強い力をもって造られた風玉からは深みを感じる。
またひとつ造り上げたたところでリュナは手を止めカルサの方に振り向いた。
「陛下。」
とうにカルサがそこにいることを知っていたようだ。
会えて嬉しい、にじみ出た感情から頬を緩ませた笑顔は心からカルサを歓迎していた。
「精が出るな。」
そう言いながら近付くカルサに頭を下げてお辞儀をすると、近くにあった籠へ視線を送る。