御劔 光の風3
彼女の視線を追ってカルサも籠の存在に気が付いた、その中には沢山の風玉が積み上げられている。

「今日だけで…か?」

「はい。」

籠を手にして持ち上げる、少し重みがあるがそれが誇らしく思えた。

自分のした仕事の成果が形になって表れると随分と気持ちも違う。

「今までの分は大聖堂にいるラファルに預けてあります。」

事態が緊迫してきたと悟ったあたりからカルサの願いによりラファルには大聖堂の番をしてもらっている。

そこにリュナは行けないがラファルが取りに来ているというのだ。

あそこは光溢れる聖なる場所、魔性の力を持つリュナには過酷な場所だろう。

それを知ってか知らずか、リュナは定期的に姿を表すラファルに甘えて預けているらしい。

もっとも最初に大聖堂に運ぶと持ちかけたのはラファルだったようだ。

「お願いします。」

確認してほしいという意味を込めてリュナは風玉を手に取りカルサに差し出した。

その人の力の結晶とも言える風玉、不思議なものでここからは魔性の力は感じられなかった。

それにしても。

「いい出来だ。」

カルサの言葉に安堵してリュナは表情を崩す。

魔性の力を持つと分かってから、リュナは本来の自分を手に入れたように力を使いこなしていた。

質がまるで違う。

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