御劔 光の風3
Ⅱ-Ⅳ 本当の名前
一つの鼓動がゆっくりと全身に伝わっていく。
やけに響くその振動は打つごとに身体の機能を奪っていくかのようにも思えた。
音はやがて雫と落ちて波紋を広げる。
一つ一つの音はその重大さを表すかのように大切に鳴らされていった。
低い振動、ゆっくりとした律動、波打つ鼓動は確実にリュナの中の何かを塗り替えていく。
ドクン
心臓から爪先へ。心臓から指先へ。心臓から頭の先へ。
全身に波は伝わっていく。大きく深くゆっくりと、鼓動はまるで儀式のように身体というよりも存在の色を染めていくように感じられた。
ドクン
心臓から爪先へ。心臓から指先へ。心臓から頭の先へ。
一つの波が伝わるごとに塗り替えられていく。赤から青へ、白から黒へ、そもそもの組織を変えていくような感覚、身体の小さな細胞、染色体までも鼓動が生み出す波は震わせていく。
ドクン
代われ。変われ。奪われた子。
波は確実に伝わっていく。呪いがかけられていくのか、それとも覆いつくす布を剥がしていくのだろうか。
光が消えて闇が目を覚ます。
そして彼女は目を覚ます。
「リュナ!リュナ!」
王族しか入れない区域にあるリュナの部屋の前には焦りを露わにするカルサがいた。
室内に大きく外からの存在を示す音が響くがそれに答えようとする動きは全く感じられない。
やけに響くその振動は打つごとに身体の機能を奪っていくかのようにも思えた。
音はやがて雫と落ちて波紋を広げる。
一つ一つの音はその重大さを表すかのように大切に鳴らされていった。
低い振動、ゆっくりとした律動、波打つ鼓動は確実にリュナの中の何かを塗り替えていく。
ドクン
心臓から爪先へ。心臓から指先へ。心臓から頭の先へ。
全身に波は伝わっていく。大きく深くゆっくりと、鼓動はまるで儀式のように身体というよりも存在の色を染めていくように感じられた。
ドクン
心臓から爪先へ。心臓から指先へ。心臓から頭の先へ。
一つの波が伝わるごとに塗り替えられていく。赤から青へ、白から黒へ、そもそもの組織を変えていくような感覚、身体の小さな細胞、染色体までも鼓動が生み出す波は震わせていく。
ドクン
代われ。変われ。奪われた子。
波は確実に伝わっていく。呪いがかけられていくのか、それとも覆いつくす布を剥がしていくのだろうか。
光が消えて闇が目を覚ます。
そして彼女は目を覚ます。
「リュナ!リュナ!」
王族しか入れない区域にあるリュナの部屋の前には焦りを露わにするカルサがいた。
室内に大きく外からの存在を示す音が響くがそれに答えようとする動きは全く感じられない。