御劔 光の風3
「エプレット、無事か?」
汚れた服、傷ついた身体、交戦した跡の残る姿を見ているとカルサはいたたまれなくなる。次第に眉間にしわが寄り厳しい顔つきになっていくのが分かった。
「はい、無事です。陛下はご無事ですか?」
「ああ。俺より…。」
「陛下、失礼致します。」
何かに気付いたエプレットはカルサの言葉を遮り、前身頃を隠していた外陰をめくった。
そこにあったのは肩から脇腹にかけての大きな傷。血が滲み出て軽い怪我でないことを知らしめていた、痛くないはずがない。エプレットは複雑な表情を見せカルサを見上げる。
「嘘ばかりを。」
苦笑いすると外陰から手を離し頭を下げた。そして自分の腰元に括りつけていた袋から箱を取り出し蓋を開ける。
カルサの前に差し出されたのは箱の中にあった白い布だった。
「どうぞこれをお使い下さい。」
それは応急手当て用の包帯であり、この包帯でカルサ自身の怪我の手当てをしてほしいというエプレットの主君を思う気持ちが大いに表れていた。
されるのではなく、自ら手当てすることにより傷の深さを自覚しろというのだろう。
まるでナータックに叱られているようでカルサの胸の内が熱くなる、カルサは白い布を握りしめて胸元にあてた。
「ナータックに譲りだな。…すまない、苦労をかける。」
囁くように語りかけた声は少し震えていたような気がした。エプレットはゆっくり首を横に振って笑みを浮かべる。
カルサは背中の方に手をやると小さな球を二つ取出し、箱を差し出したままのエプレットの手を取って上に乗せた。エプレットは思わず顔を上げるとカルサは微笑みを見せて頭を下げる。
「お前に追加で渡しておく。俺にはこれしか出来ない。」
「陛下、そんな!」
止めてください、カルサはその言葉を言わせなかった。口の前に手を差し出してエプレットの言葉を止める。
汚れた服、傷ついた身体、交戦した跡の残る姿を見ているとカルサはいたたまれなくなる。次第に眉間にしわが寄り厳しい顔つきになっていくのが分かった。
「はい、無事です。陛下はご無事ですか?」
「ああ。俺より…。」
「陛下、失礼致します。」
何かに気付いたエプレットはカルサの言葉を遮り、前身頃を隠していた外陰をめくった。
そこにあったのは肩から脇腹にかけての大きな傷。血が滲み出て軽い怪我でないことを知らしめていた、痛くないはずがない。エプレットは複雑な表情を見せカルサを見上げる。
「嘘ばかりを。」
苦笑いすると外陰から手を離し頭を下げた。そして自分の腰元に括りつけていた袋から箱を取り出し蓋を開ける。
カルサの前に差し出されたのは箱の中にあった白い布だった。
「どうぞこれをお使い下さい。」
それは応急手当て用の包帯であり、この包帯でカルサ自身の怪我の手当てをしてほしいというエプレットの主君を思う気持ちが大いに表れていた。
されるのではなく、自ら手当てすることにより傷の深さを自覚しろというのだろう。
まるでナータックに叱られているようでカルサの胸の内が熱くなる、カルサは白い布を握りしめて胸元にあてた。
「ナータックに譲りだな。…すまない、苦労をかける。」
囁くように語りかけた声は少し震えていたような気がした。エプレットはゆっくり首を横に振って笑みを浮かべる。
カルサは背中の方に手をやると小さな球を二つ取出し、箱を差し出したままのエプレットの手を取って上に乗せた。エプレットは思わず顔を上げるとカルサは微笑みを見せて頭を下げる。
「お前に追加で渡しておく。俺にはこれしか出来ない。」
「陛下、そんな!」
止めてください、カルサはその言葉を言わせなかった。口の前に手を差し出してエプレットの言葉を止める。