御劔 光の風3
「お前から感じる力は俺と同じだ。きっと光玉の力を使える。これは治癒にも攻撃にも使える。悪いがここに留まる事が出来ない俺の代わりに支えてやってくれ。」
普段の何気ない仕草や執務中以外では見ることのないカルサの頭頂部、自分の為に下げられている頭を不思議な感覚で見つめていた。
「お前の気持ち次第でこの光玉は形を変える。無茶をするなと言うには説得力がないが気を付けて使ってくれ。」
ようやく顔を上げたカルサは目の前に握りしめた包帯を掲げて微笑んだ。
「ありがとう。敵はまだまだやってくる、俺はこれ以上の侵入を防ぐ為に手を打ちに行く。」
「…はい。」
カルサの言葉に返事をしてエプレットは頷く。
気付けば近くに千羅が控えていた、カルサは視線を合わせて千羅が頷くのを確認する。
「エプレット、ここは頼む。千羅、行くぞ!」
カルサは千羅に呼びかけその場から走り去っていった。エプレットは二人の後ろ姿を見送り持ち場に戻ろうとした。
そしてもう一度カルサ達の後ろ姿を眺める。
傍にいると言った千羅の言葉が思い出され手の上にある小さな光玉を握りしめた。脳裏に焼き付けられたカルサの頭を下げる姿に言い様のない不安が押し寄せる。
どうかこれが杞憂であって欲しい。
「ご無事で。」
エプレットは祈るように呟いた。
「彼はナータック殿に似ていますね。」
走りながら千羅が呟いた声にカルサが反応した。
「そのようだな。どこか似ている。」
手の中にある白い布が暖かく感じる。
左足と左腕を失いナータックの軍隊復帰の望みは失われた。それどころか彼は未だ昏睡状態のまま、命の燈さえ失われそうな程でもある。
重傷の彼を見つけたのは貴未であり、まだうっすらと意識があったナータックはうわ言とのように呟いていたことがあった。
普段の何気ない仕草や執務中以外では見ることのないカルサの頭頂部、自分の為に下げられている頭を不思議な感覚で見つめていた。
「お前の気持ち次第でこの光玉は形を変える。無茶をするなと言うには説得力がないが気を付けて使ってくれ。」
ようやく顔を上げたカルサは目の前に握りしめた包帯を掲げて微笑んだ。
「ありがとう。敵はまだまだやってくる、俺はこれ以上の侵入を防ぐ為に手を打ちに行く。」
「…はい。」
カルサの言葉に返事をしてエプレットは頷く。
気付けば近くに千羅が控えていた、カルサは視線を合わせて千羅が頷くのを確認する。
「エプレット、ここは頼む。千羅、行くぞ!」
カルサは千羅に呼びかけその場から走り去っていった。エプレットは二人の後ろ姿を見送り持ち場に戻ろうとした。
そしてもう一度カルサ達の後ろ姿を眺める。
傍にいると言った千羅の言葉が思い出され手の上にある小さな光玉を握りしめた。脳裏に焼き付けられたカルサの頭を下げる姿に言い様のない不安が押し寄せる。
どうかこれが杞憂であって欲しい。
「ご無事で。」
エプレットは祈るように呟いた。
「彼はナータック殿に似ていますね。」
走りながら千羅が呟いた声にカルサが反応した。
「そのようだな。どこか似ている。」
手の中にある白い布が暖かく感じる。
左足と左腕を失いナータックの軍隊復帰の望みは失われた。それどころか彼は未だ昏睡状態のまま、命の燈さえ失われそうな程でもある。
重傷の彼を見つけたのは貴未であり、まだうっすらと意識があったナータックはうわ言とのように呟いていたことがあった。