御劔 光の風3
「どいて!」
まだまだ向かってくる魔物を切り裂こうとした瞬間、黒い煙のようなものに巻かれた魔物たちはまるで力を吸い取られたようにその場に崩れ落ちていくのが見えた。
しかしそれはリュナの力ではない。
「なにっ…!?」
驚きのあまり思わず声が出た。
崩れ落ちた魔物たちの向こうに人影が見える、リュナは目を凝らしてその正体を求めた。
ゆっくりと近づいてくる姿はやがて鮮明になり、それは見たことない青年だと分かる。襟足だけ伸ばした印象のある赤い髪を持つ青年だ。
「先、急いでるんだろう?」
「え?」
青年は低く優しい声をリュナに送った。意外な状況にリュナから疑問符ばかりが生まれる。
兵士の服装ではない彼はこの城に仕えている者かどうかも怪しいし、能力の使い手なら把握できていない時点で敵の可能性が高かった。
「行きな。」
優しい笑顔を見せる彼はリュナが向かう先を親指で指して促せる。リュナの前、彼の背後にその示す先はあった。
突然現れたこの青年は信じるに値しない、しかしここで意地になるのも意味がなかった。罠だとしてもここは進まなければレプリカの許へは辿り着けないのだ。
まるで睨み付けるように、探るようにリュナは青年をその目に焼き付ける。やがて一言も発せずにリュナは走りだし青年の横をすりぬけて前へ前へと風のように進んでいく。
青年は彼女の後ろ姿を立ち止まったまま見送り攻撃を仕掛けるようなことはしなかった。
追おうとする魔物たちを制するように両手を広げて彼らに視線を送る、その不適な笑みは威圧を感じさせた。
「行かせてやれよ。」
怪しく光る瞳に捕われるように魔物たちは動かなくなった。己の喉を鳴らし威嚇する姿勢も弱まり、前のめりだった姿勢を次第に起こしていく。
まだまだ向かってくる魔物を切り裂こうとした瞬間、黒い煙のようなものに巻かれた魔物たちはまるで力を吸い取られたようにその場に崩れ落ちていくのが見えた。
しかしそれはリュナの力ではない。
「なにっ…!?」
驚きのあまり思わず声が出た。
崩れ落ちた魔物たちの向こうに人影が見える、リュナは目を凝らしてその正体を求めた。
ゆっくりと近づいてくる姿はやがて鮮明になり、それは見たことない青年だと分かる。襟足だけ伸ばした印象のある赤い髪を持つ青年だ。
「先、急いでるんだろう?」
「え?」
青年は低く優しい声をリュナに送った。意外な状況にリュナから疑問符ばかりが生まれる。
兵士の服装ではない彼はこの城に仕えている者かどうかも怪しいし、能力の使い手なら把握できていない時点で敵の可能性が高かった。
「行きな。」
優しい笑顔を見せる彼はリュナが向かう先を親指で指して促せる。リュナの前、彼の背後にその示す先はあった。
突然現れたこの青年は信じるに値しない、しかしここで意地になるのも意味がなかった。罠だとしてもここは進まなければレプリカの許へは辿り着けないのだ。
まるで睨み付けるように、探るようにリュナは青年をその目に焼き付ける。やがて一言も発せずにリュナは走りだし青年の横をすりぬけて前へ前へと風のように進んでいく。
青年は彼女の後ろ姿を立ち止まったまま見送り攻撃を仕掛けるようなことはしなかった。
追おうとする魔物たちを制するように両手を広げて彼らに視線を送る、その不適な笑みは威圧を感じさせた。
「行かせてやれよ。」
怪しく光る瞳に捕われるように魔物たちは動かなくなった。己の喉を鳴らし威嚇する姿勢も弱まり、前のめりだった姿勢を次第に起こしていく。