御劔 光の風3
リュナの視線がサルスからレプリカへと、ゆっくり下がった。
様子を見る限り彼女の意識はない。
「ごめん。」
リュナが声を出す前にサルスが絞り出したような擦れた声で切り出した。その言葉の意味を理解できないリュナは再び視線をサルスに戻す。
「殿下。」
辛うじて出した声は震えてしまった。
それ以上言葉が続かなかったのはサルスが俯き涙を流していたからだ。その姿にリュナは言葉を失ってしまい、大して働かない頭では何かを考えようとしても無理だった。
もう心が乱れている、何があったのかと心がざわついて騒がしいのだ。
「俺が彼女を…俺のせいで!」
力が入る腕の中でレプリカは血の気もなく静かに納まっている。リュナはそっと手を伸ばしてレプリカに触れた。指先が頬に触れるも彼女は反応を示さない。
自分の手が震えている、目が泳ぎ動揺する中でリュナは自分を奮い立たせた。
「レプリカを…レプリカを早く救護室に連れていって下さい!」
弱々しくもまだ彼女は息をしている、レプリカの未来は一秒の判断で決まってしまうのだ。
しかし力なく顔を上げたサルスの表情はもう絶望の色しかなかった。
諦めている、瞬時に判断したリュナは口元に力を入れてサルスの頬を勢い良く叩いた。
破裂するような音と衝撃がサルスの身体に走り、色を取り戻した目で顔を向け直す。
「早く救護室に!!」
「わ…分かった!」
リュナの声に我に返ったサルスは力強く頷いて走りだした。
サルスが動き出したのに合わせて榎も彼の後ろを付いていく、足音が遠退いていくのを背中で感じながらリュナは涙を流していた。
様子を見る限り彼女の意識はない。
「ごめん。」
リュナが声を出す前にサルスが絞り出したような擦れた声で切り出した。その言葉の意味を理解できないリュナは再び視線をサルスに戻す。
「殿下。」
辛うじて出した声は震えてしまった。
それ以上言葉が続かなかったのはサルスが俯き涙を流していたからだ。その姿にリュナは言葉を失ってしまい、大して働かない頭では何かを考えようとしても無理だった。
もう心が乱れている、何があったのかと心がざわついて騒がしいのだ。
「俺が彼女を…俺のせいで!」
力が入る腕の中でレプリカは血の気もなく静かに納まっている。リュナはそっと手を伸ばしてレプリカに触れた。指先が頬に触れるも彼女は反応を示さない。
自分の手が震えている、目が泳ぎ動揺する中でリュナは自分を奮い立たせた。
「レプリカを…レプリカを早く救護室に連れていって下さい!」
弱々しくもまだ彼女は息をしている、レプリカの未来は一秒の判断で決まってしまうのだ。
しかし力なく顔を上げたサルスの表情はもう絶望の色しかなかった。
諦めている、瞬時に判断したリュナは口元に力を入れてサルスの頬を勢い良く叩いた。
破裂するような音と衝撃がサルスの身体に走り、色を取り戻した目で顔を向け直す。
「早く救護室に!!」
「わ…分かった!」
リュナの声に我に返ったサルスは力強く頷いて走りだした。
サルスが動き出したのに合わせて榎も彼の後ろを付いていく、足音が遠退いていくのを背中で感じながらリュナは涙を流していた。