御劔 光の風3
「疲れた顔をしているわ、貴方。老けたのではなくて?」

「それはお互い様だ。貴女は相変わらず年齢が分からない。」

「女性の年齢は知るものではないわ。不粋というものよ。」

遠慮なく弾む会話に二人から笑みがこぼれる。

和やかな空気が流れた、こんなに気楽な会話ができたのは二人だからこそのもの。

もう少しこの空気に触れていたいがハワードの微笑みは次第に切ないものへと変わっていった。

その変化にはナルも思わずつられてしまう。

「貴方…。」

「私はどしたらよいか分からない。」

ハワードはナルの言葉を遮り助けを求めるように小さく叫んだ。

本当は知っていた、カルサが居ないこともリュナが居ないことも、影に撤しているサルスとレプリカの事も知っていた。

助けてあげたいのだ、できれば何も気にせず陽のあたる場所へ連れ出してやりたい。

でも彼らがいなければ国は成り立たなかった。

まだ若い彼らの人生全てを奪うような形でも国を守らねばいけなかったのだ、どれだけ申し訳ないと無力さに嘆いただろう。

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