御劔 光の風3
「サルスを…次の国王にしようとしているのね?」

「そうしてきっと…ご自分のお姿を消されるおつもりだろう。」

カルサの想いに二人は言葉を無くして立ち尽くしていた。

彼はこの国から去ろうとしている、その事に気付いてしまったのだ。

ナルとは違い、ハワードは太古の因縁については何も知らない。ただカルサが戦いの中に身を投じようとしているのは感じていた。

「陛下はお優しい。全て自分のせいにして抱えこんでしまわれる。」

きっと国や城の守りを固めて、自分の役目を果たしてから去っていくのだろう。

だから急いでサルスに国王の役割を教え育てているのだ。

ある程度の基盤を作り、国の混乱も治まってから何らかの形をとって王の座から退くつもりだろうとハワードは推測していた。

おそらくその読みは間違っていない筈だ。

「ナル、貴女は知っているのだろう?陛下は一体何を抱えておられるのだ?」

何がここまで彼を戒めるのか、ハワードはそれが知りたかった。

必死の眼差しで懇願してもナルは首を縦には振らない。

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