御劔 光の風3
「シードゥルサ、俺たちの国だ…っ!」
気付けばサルスの目からは涙が溢れていた。今まで押さえていたものが一気に溢れてきたのだろう、拭っても拭っても止まる事を知らない。
「く…っ。うう…。」
次第に漏れる嗚咽にサルスは涙を拭うこともやめた。
いつからこんなに淋しくなったのだろう。
衝動的に救護室に向かったのはレプリカに会いたかったから。あの襲撃の時は殆どと言っていいほどサルスに意識がなかった。彼女に名を呼ばれ、我に返った時には既にレプリカが血まみれだったのだ。
「殿下。」
周りを見れば魔物の死骸に囲まれていることに気付く、そして自分に怪我がないことにも気付いて一気に焦った。
この状況を確認しようとレプリカを見れば彼女は笑っているだけだ。
「良かった。気が付きましたね。」
サルスの意識が戻ったのを確認すると安堵の笑みを浮かべて倒れてしまった。彼女の発言から察するにおそらく意識のない間の自分を知っているのだろう。
彼女に会ってそれを聞きたかった。
でも理由はそれだけじゃない。本当は顔を見るだけでもいい、それだけで心が温かくなるのだ。いつかのように温かい空気で包んでくれたらと心のどこかで願っていた。
サルスの中でレプリカは大きな存在になっていたのだ。
しかし彼女はカルサの許へと行ってしまった。まるで背を向けられたような気がして、孤独感や喪失感がサルスを襲う。
「あ…あああ…。」
静かに泣くには感情が高ぶりすぎた。やがて声が漏れ始め、それを押し殺そうとすると余計に心は震え涙が止まらない。
膝が崩れ顔は俯き、言葉にならない声を出しながら泣き続けた。窓にあてていた手は泣き崩れる自分から抵抗するようにそこから離れようとしない。
それはまるで風に舞う国旗を掴む為に伸ばし続けているよう。
今の彼を支えているのは国を治めるのは自分しかいないという、誇りとプライドだけなのだ。
気付けばサルスの目からは涙が溢れていた。今まで押さえていたものが一気に溢れてきたのだろう、拭っても拭っても止まる事を知らない。
「く…っ。うう…。」
次第に漏れる嗚咽にサルスは涙を拭うこともやめた。
いつからこんなに淋しくなったのだろう。
衝動的に救護室に向かったのはレプリカに会いたかったから。あの襲撃の時は殆どと言っていいほどサルスに意識がなかった。彼女に名を呼ばれ、我に返った時には既にレプリカが血まみれだったのだ。
「殿下。」
周りを見れば魔物の死骸に囲まれていることに気付く、そして自分に怪我がないことにも気付いて一気に焦った。
この状況を確認しようとレプリカを見れば彼女は笑っているだけだ。
「良かった。気が付きましたね。」
サルスの意識が戻ったのを確認すると安堵の笑みを浮かべて倒れてしまった。彼女の発言から察するにおそらく意識のない間の自分を知っているのだろう。
彼女に会ってそれを聞きたかった。
でも理由はそれだけじゃない。本当は顔を見るだけでもいい、それだけで心が温かくなるのだ。いつかのように温かい空気で包んでくれたらと心のどこかで願っていた。
サルスの中でレプリカは大きな存在になっていたのだ。
しかし彼女はカルサの許へと行ってしまった。まるで背を向けられたような気がして、孤独感や喪失感がサルスを襲う。
「あ…あああ…。」
静かに泣くには感情が高ぶりすぎた。やがて声が漏れ始め、それを押し殺そうとすると余計に心は震え涙が止まらない。
膝が崩れ顔は俯き、言葉にならない声を出しながら泣き続けた。窓にあてていた手は泣き崩れる自分から抵抗するようにそこから離れようとしない。
それはまるで風に舞う国旗を掴む為に伸ばし続けているよう。
今の彼を支えているのは国を治めるのは自分しかいないという、誇りとプライドだけなのだ。