御劔 光の風3
「日向、食事にしましょう。皆待っています、顔を出してあげなさい。」
「分かった。ありがとう、テスタ。」
日向は重たく力のない身体を気力で持ち上げて立ち上がった。左右に態勢を崩しながらもゆっくりと歩き始める姿に祷が心配そうに駆け寄る。
「主。」
「大丈夫、大丈夫!」
祷に心配をかけてしまった事が恥ずかしくて日向は照れ笑いをしながら答えた。楽しそうに会話をしながら扉に向かって歩く二人をカルサたちは最後まで見送る。
「似てきたと思いませんか?あなた方の父親に。」
二人きりになりつつあった部屋の中で問われた言葉。
日向にテスタと呼ばれた青年は、銀色のような薄い水色のような色をした短い髪を揺らしてカルサに近付いた。
「そうだな。」
カルサは眉一つ動かさずに視線を送るとすぐに日向の後ろ姿を見送る。
「つまらない。一昔前の貴方なら食い付いてそんな事はないと取り乱したでしょうに。」
「確かにそうだな。」
明らかにつまらなさそうに肩をすくめて見せたテスタをカルサは微笑んでかわした。
一昔前というにはどれくらいの年月が経ったか分からないが、確かに無駄に反発をして真実から目を逸らす程もう子供ではない。
それくらいの時間と腹積もりがカルサにはあった。
「偉大なる守麗王でした、あなた方の父親は。」
遠い目をしながら互いに太古の時代へと思いを馳せる。まるで昨日の事のように鮮明に思い出せるあの時は眩しく輝いていた。
それもあの事件が起きるまで。
「過去の栄光だ。」
吐き捨てるように言ったつもりはない。だってそれは紛れもない事実だから。
「分かった。ありがとう、テスタ。」
日向は重たく力のない身体を気力で持ち上げて立ち上がった。左右に態勢を崩しながらもゆっくりと歩き始める姿に祷が心配そうに駆け寄る。
「主。」
「大丈夫、大丈夫!」
祷に心配をかけてしまった事が恥ずかしくて日向は照れ笑いをしながら答えた。楽しそうに会話をしながら扉に向かって歩く二人をカルサたちは最後まで見送る。
「似てきたと思いませんか?あなた方の父親に。」
二人きりになりつつあった部屋の中で問われた言葉。
日向にテスタと呼ばれた青年は、銀色のような薄い水色のような色をした短い髪を揺らしてカルサに近付いた。
「そうだな。」
カルサは眉一つ動かさずに視線を送るとすぐに日向の後ろ姿を見送る。
「つまらない。一昔前の貴方なら食い付いてそんな事はないと取り乱したでしょうに。」
「確かにそうだな。」
明らかにつまらなさそうに肩をすくめて見せたテスタをカルサは微笑んでかわした。
一昔前というにはどれくらいの年月が経ったか分からないが、確かに無駄に反発をして真実から目を逸らす程もう子供ではない。
それくらいの時間と腹積もりがカルサにはあった。
「偉大なる守麗王でした、あなた方の父親は。」
遠い目をしながら互いに太古の時代へと思いを馳せる。まるで昨日の事のように鮮明に思い出せるあの時は眩しく輝いていた。
それもあの事件が起きるまで。
「過去の栄光だ。」
吐き捨てるように言ったつもりはない。だってそれは紛れもない事実だから。