御劔 光の風3
切り捨てるような物言いにも日向に退く気配はない。絆が運命の糸を手繰りよせ日向の歯車を放しはしないのだろうか。

日向はまっすぐ答えを求めている。

口惜しさから拳を握っても向かてくるその思いには答えなければいけないのだ。

「好きにしろ。」

絞りだした答えは不本意なものだったカルサとは対称に日向には笑顔が灯る。

それが余計にカルサの心を締め付けたことなど知る由もないだろう。

「ありがとう。」

ここに来てから日向にそう言われたのは二回目だった。

「やったなー!日向、良かったじゃん!」

貴未は日向に駆け寄ると子供を誉めるように頭をぐしゃぐしゃと撫でる。それをきっかけに日向は嬉しい気持ちを全面に出して喜んだ。

「うん!ありがとう、貴未!」

「よくやった!よく頑張ったな!記念のファイヤーやろうぜ、上達したっていう魔法見せてくれよ。」

願いがかない喜ぶ無邪気な二人から目を逸らしてカルサは背を向けようとする。

実際にこれで終わりだと示すようにカルサは扉に向かって歩き出していた。

機会を待っていたかのようにラファルがカルサに駆け寄ってその身体をすり寄せる。

「ラファル。」

自分も共に行くのだと言っているようにラファルの目は真っ直ぐにカルサを射抜いた。

その思いはカルサに伝わったようだ。

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