御劔 光の風3
きっと何か感じるものがあるのだろう、寂しげな姿はそれでも日向を見つめている。

いつかは自分の口から伝えなくてはいけないのだろうか。

きみの正体は誰で、何故ここにいるのか。

きみがこれから歩まなければいけない道は、もう既に用意されているのだと。

「俺はまだまだ臆病者か。」

同じ道を共に歩くか、似て否なる道を隣に並んで歩くのか、ただそれだけの違い。

「もし、日向が第二皇子ならば…それこそ全てを受け入れる器を持ってもらわなければ困ります。」

カルサと千羅は声の主である瑛琳を見つめた。

「泣いても悩んでも投げやりになっても構いません。逃げ出さない強さを持って頂かなければ…貴方様のように。」

最後はカルサに向けられた言葉だ。

どんな事があっても、弱音を吐いても苛立っても焦っても、どんな状態になっても決して投げ出したり逃げ出さなかった。

そんなカルサを瑛琳と千羅は見てきたのだ。

強さを持つ、戦える、いつも自分が前に立つ気持ちがあった。そんな彼だからこそ力になりたい。

そんな彼だからこそ、守りたいと思う。

「でないと、お仕えする気になれません。」

瑛琳が笑った。千羅もあわせて笑う。

もちろんそれは、カルサにもうつり互いに向き合えば誰からと言う訳でもなく噴き出した。

決意を新たに明らかにする。

千羅のきっかけで始まり貴未の助けで深いものになった。

誰一人として嘘をついていない、本当の目的が明らかになる。

日向を守ると声にだした、いつかその意味を彼は問うだろう。

その時は答えなければいけない。

彼が誰で、これから戦う相手は誰なのか。

それは日向を戦いに巻き込むという新たなカルサの覚悟、そして日向を守り抜くという決意だった。

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