御劔　光の風３
Ⅲ-Ⅲ 中心世界オフカルス
目を閉じて心を静かにその身を任せれば違う世界に迷いこむ。

ここ最近そんな不思議な体験を繰り返すと思えばやはり今日も気が付くといつものそこに立っていた。

いや、立っているというよりも気付いた時には既に身体が歩いている感覚なのだ。

一体この感覚は何なのだろう。

ここに至るまでの記憶はまるでない、気が付けば光溢れる景色の中を歩いている。

眩しすぎる景色の中では自分の手足でさえもよく見えない真っ白な世界だった。

いま手を振っている、いま足を動かして歩いている、その感覚だけで自分の状態を理解できる不思議な空間。

ただ、足を進めるたびに聞こえる草を踏む音が唯一の情報に近かった。

まただ。

そう口にしようとしても声にはならない。

これもいつものこと、胸の内で呟きながらどこを目指すか分からない足は前へ前へと進んでいく。

光が溢れすぎて眩しい。

草も木も確かにそこにあるのだろうけど、草を踏んだ様な感触はあるのだけどよくは見えなかった。

眩しすぎて白に近いこの世界は自分の靴や服でさえも真っ白に映る。

手をかざして光を遮ろうとしても意味が無く、堪えきれずに目を細めてしまう位そこにある光が強かった。

何故ここにいるのだろう。足を進める理由は何なのだろう。

いくつかの疑問が浮かんでも止まらない足はどんどん前に進んでいく。

鼻を掠める匂いが変わり記憶が呼び覚まされた。

この先に広がる景色がどういうものなのか不思議と分かっているようだ。でも訪れた事はない。

艶のある石で造られた噴水、そこを愛でる場所として造られたであろう木製の長椅子に人影があった。水が吹き出て流れ落ちる音が心地よくていつも意識を奪われていく。

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