御劔 光の風3
少しも進んでいない様な気がして時計は目に入らないところにしまいこんだ。少しでも早くこんな場所から抜け出したい。
でもどうやって。
ロワーヌについてこの場所に入ったとき彼女は当然のようにリュナに告げたのだ。
「ここはレテイシア。貴女の故郷よ。」
それは以前カルサに魔族が住む場所として教えられた魔界の名前だった。
オフカルスとは正反対に位置する闇を統べるレテイシア、どちらも中心世界と呼ばれる存在だ。
いずれ向かわなければと思っていた場所に図らずも訪れてしまったことを幸運と呼ぶべきなのだろうか。
そのことを考えるだけで眉間にしわが寄り俯き加減になってしまう。
リュナは振り返り改めて部屋の中を見回した。
広々としたベッドに見合う大きさの部屋、シードゥルサの城と同等の豪華さは確実だった。
着いて早々に案内されたのがこの部屋で、扱いに疑問を感じて尋ねれば打ち明けられたのが自分はロワーヌと沙更陣の子供だという事だったのだ。
ロワーヌはオフカルスに出向いていた神官だったが、元はレテイシアにおける魔族の長の娘。つまりこの城の住人だったという統治者の一族だった。
「世が世なら貴方はお姫様だった、かもね。」
冗談のつもりだったのだろうがその言葉はリュナの神経を逆なでする。
そんな身分は自分にとって無意味であると憎しみを込めてロワーヌを睨んだ。しかしロワーヌは表情を変えぬまま好きに使うよう告げると去って行ってしまった。
それ以来顔を合わせてはいない。
「いきなり言われても納得できる訳ないじゃない。」
あれからどれ程時間が経っていても気持ちがまだ半分だった。
ロワーヌに打ち明けられた瞬間を思い出しては呟いて頭を抱えてしまう。
暇さえあれば当然のように思い出してしまうのだ、ここで何をしている訳ではないリュナにとってはそれの繰り返しだった。
でもどうやって。
ロワーヌについてこの場所に入ったとき彼女は当然のようにリュナに告げたのだ。
「ここはレテイシア。貴女の故郷よ。」
それは以前カルサに魔族が住む場所として教えられた魔界の名前だった。
オフカルスとは正反対に位置する闇を統べるレテイシア、どちらも中心世界と呼ばれる存在だ。
いずれ向かわなければと思っていた場所に図らずも訪れてしまったことを幸運と呼ぶべきなのだろうか。
そのことを考えるだけで眉間にしわが寄り俯き加減になってしまう。
リュナは振り返り改めて部屋の中を見回した。
広々としたベッドに見合う大きさの部屋、シードゥルサの城と同等の豪華さは確実だった。
着いて早々に案内されたのがこの部屋で、扱いに疑問を感じて尋ねれば打ち明けられたのが自分はロワーヌと沙更陣の子供だという事だったのだ。
ロワーヌはオフカルスに出向いていた神官だったが、元はレテイシアにおける魔族の長の娘。つまりこの城の住人だったという統治者の一族だった。
「世が世なら貴方はお姫様だった、かもね。」
冗談のつもりだったのだろうがその言葉はリュナの神経を逆なでする。
そんな身分は自分にとって無意味であると憎しみを込めてロワーヌを睨んだ。しかしロワーヌは表情を変えぬまま好きに使うよう告げると去って行ってしまった。
それ以来顔を合わせてはいない。
「いきなり言われても納得できる訳ないじゃない。」
あれからどれ程時間が経っていても気持ちがまだ半分だった。
ロワーヌに打ち明けられた瞬間を思い出しては呟いて頭を抱えてしまう。
暇さえあれば当然のように思い出してしまうのだ、ここで何をしている訳ではないリュナにとってはそれの繰り返しだった。