御劔 光の風3
「あの子に何があったのか、その行動の裏に一体何が隠されているのか、私はそれが知りたいの。」

「行動の、裏?」

「ええ。思えばウレイの即位話が出る前から少し様子がおかしかったと…それにあの事件の被害者の順番も少し気になっていて。」

予想外の言葉にマチェリラは遠くなっていた記憶を呼び起こして圭の言葉に添えてみた。

この角度から物事を考えるなんてしたことがない。

「最初は環明、そしてウレイ。その次に犠牲になったのは委員会の人たち。」

「委員会…。」

「無差別に人々の命が奪われて多くの魂が私のところに流れてきた。剣を振るったのはヴィアルアイだけ?」

「ええ。最初はウレイを狙って、それをかばった環明が刺されて。覆いかぶさるようにして二人とも刺されたから多分、一緒に死んだんだと思う。そのあと急に周りを見渡して剣を振り上げて…それが委員会の人間だったって事ね。」

「ヴィアルアイはその人物を探して狙ったんじゃない?」

ずっと胸に秘めていたのだろうか。

圭はようやく口にすることが出来たかのようにその思いをマチェリラにぶつけているように思えた。

「狙った?」

「委員会の動きもおかしかったと思うの。確信がある訳じゃないから大きな声じゃ言えないけど…一部の委員からヴィアルアイは疎まれていたから。」

「何故?」

「正論を突きつけられれば反発したくなる人間もいる。つまりは立派すぎる守麗王が鼻についたのかもしれないわ。…信じられない感覚だけどね。」

あの遠い昔生きた時代にそんなことがあったのか覚えてはいない。だが少なくとも圭はそう感じていたことは確かなようだと認めるしかなかった。

だとしたら今の状況はどう捉えればいいのだろう。

< 665 / 729 >

この作品をシェア

pagetop