御劔 光の風3
「どきい!この阿呆たれ!」
体に感じた衝撃、力強く押されたかと思えば、言葉のわりに乱暴さは感じられない加減だった。
暴れ苦しむサルスにまたがる後ろ姿でそれは誰かと確信する。
「こ…紅?」
名前を呼んでも彼女は返事をしなかった。
腰元に下げた鞄の中から手探りで瓶を取り出し、器用に指で蓋を開けながら流れるように中の液体をサルスに振りかける。
「届け!」
紅は心臓マッサージするようにサルスの胸の上で両手を重ねるとその身を光らせ何かを唱えた。
おそらくそれは呪いの言葉だ。
「紅は一体何を?」
紅の行動の意味が分からない千羅は思わずカルサに尋ねるが返事も反応もない。
ただ驚きの表情でことの成り行きを見つめているだけだった。
しかし次第に状況が飲み込め紅のしていることが何かを理解したのだろう、その目に力が宿り口元には力が入ったようだ。
胸が熱い。
「奥に突っ込まれとるサルスを結界と聖水で包んだ!カルサ、この後どないすんねん!?」
振り向いた紅の強い目と言葉にカルサは力強く頷いて息を吸った。
「斬る!」
言葉を発したと同時に剣を振り上げ、紅が避けたのを確認した瞬間サルスの身体を斬りつけた。
血しぶきが巻き上がり重たそうな血がぼたぼたと地面を濡らしていく。
その量が増えることに比例してもがいていたサルスも動きを小さくして次第に力尽きていった。
血の気を失っていくサルスに千羅は不安が隠しきれない。
サルスから流れ出した血はやがて生き物のように動き始め、己の姿を型どり始めたところでカルサは剣を握りなおした。
体に感じた衝撃、力強く押されたかと思えば、言葉のわりに乱暴さは感じられない加減だった。
暴れ苦しむサルスにまたがる後ろ姿でそれは誰かと確信する。
「こ…紅?」
名前を呼んでも彼女は返事をしなかった。
腰元に下げた鞄の中から手探りで瓶を取り出し、器用に指で蓋を開けながら流れるように中の液体をサルスに振りかける。
「届け!」
紅は心臓マッサージするようにサルスの胸の上で両手を重ねるとその身を光らせ何かを唱えた。
おそらくそれは呪いの言葉だ。
「紅は一体何を?」
紅の行動の意味が分からない千羅は思わずカルサに尋ねるが返事も反応もない。
ただ驚きの表情でことの成り行きを見つめているだけだった。
しかし次第に状況が飲み込め紅のしていることが何かを理解したのだろう、その目に力が宿り口元には力が入ったようだ。
胸が熱い。
「奥に突っ込まれとるサルスを結界と聖水で包んだ!カルサ、この後どないすんねん!?」
振り向いた紅の強い目と言葉にカルサは力強く頷いて息を吸った。
「斬る!」
言葉を発したと同時に剣を振り上げ、紅が避けたのを確認した瞬間サルスの身体を斬りつけた。
血しぶきが巻き上がり重たそうな血がぼたぼたと地面を濡らしていく。
その量が増えることに比例してもがいていたサルスも動きを小さくして次第に力尽きていった。
血の気を失っていくサルスに千羅は不安が隠しきれない。
サルスから流れ出した血はやがて生き物のように動き始め、己の姿を型どり始めたところでカルサは剣を握りなおした。