御劔 光の風3
皆の視線の先には声の持ち主であるレプリカが懸命に駆け寄ってくる姿がある。

その奥には見慣れた仲間たちの姿もあった。

「…レプリカ。エプレットたちも?」

彼女の声に全身で反応を見せたサルスだが後ろめたい気持ちからか言葉を発することができない。

代わりのように名を呟いたカルサは困惑から眉を寄せ、圭は止められていた言葉の続きを放った。

「まやかしを作り出していたそうよ。」

「まやかし?」

「ええ。この見えている景色全て、カルサ、貴方の光玉を使って彼らが作り出した偽物。この壮大すぎるまやかし…一体何人でしたのかは知らないけれど、指示があってやったと言っていたわ。」

圭の説明が終わる頃、レプリカがようやくカルサたちのところに辿り着き膝を付いて頭を下げる。

その姿は女官のものではなく身軽な恰好であったことが違和感をよんだ。

「ご無事で…なによりです。」

肩で息をしながらもその礼儀を忘れないさまはまさしくレプリカだといえよう。

しかしいかにも戦えそうなその身なりにカルサは尋ねずにはいられなかった。

「レプリカ…一体何があった?」

「全てはハワード様の指示のもとに行ったことです。」

「ハワード?」

まさかのその名前に思わず目を細める。

「はい。皇子がお作りになった光玉全てを集め、我々能力者全員で力を合わせて発動させる。この国全てを隠し、上辺の世界としてこの景色を作りました。」

「つまり…もうひとつシードゥルサを作ってそこを襲わせたって訳か?」

カルサの言葉にレプリカは頷いた。

「ハワードさんは言ってた。俺たちが出発する前、もしこの国に何かが起こって戻ってくるようなことがあれば真っ先に自分を探せって。そこに必ず答えがあるようにしておくからって。」

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