御劔 光の風3
Ⅲ-Ⅶ レテイシアへ
オフカルスの中庭では沙更陣がラファルを連れてカルサ達の帰還を待っていた。
「ラファル。」
カルサを見付けるなりラファル駆け出しその身を擦り寄せる。
「1秒でも惜しいだろうと思ってここで待機していたんだ。ラファルも連れていってやってくれ。」
「ああ。」
言葉短くカルサは了承の答えを出した。
さあ行こう、そう思い顔を上げた瞬間に頭をよぎったことでカルサは動きを止める。
「カルサ?」
その行動を不思議に思ったのは貴未だけではない。
皆が見守るなか、カルサは沙更陣の方へ足を進め目の前で立ち止まった。
「どうかしたのか?」
「さっき尋ねるのを忘れていた…沙更陣、玲蘭華が水鏡の見で掟を破ったことを知っていたか?」
その言葉に動揺を見せたのはマチェリラと圭だけだった。
咄嗟に互いの顔を合わせその驚きを共有し目を泳がせる。
2人の様子からして古の民にしか知り得ない事なのだろうと予想したそれ以外の者は事情が分からず黙って様子を見守ることにした。
聞きなれない言葉を頭の中で繰り返しながら次の言葉を待つ。
「知っているよ。」
「その件で審議にかけられる予定だったことも?」
「知っている。」
隠さずに答えた沙更陣を前にカルサは目を細めて考える様に視線を下に向けた。
そこからすぐに言葉が続くかと思ったが、カルサは考えを深める為か口を閉ざしてしまったらしい。
突然生まれた沈黙に好奇心が抑えきれなかったのは皆同じだろうが、先陣をきって踏み込んだ人物がいた。
「なあ、マチェリラ…水鏡なんちゃらって何?」
「水鏡の見(みかがみのけん)よ。」
小声で尋ねる貴未にマチェリラはカルサたちから視線を動かさずに答える。
「ラファル。」
カルサを見付けるなりラファル駆け出しその身を擦り寄せる。
「1秒でも惜しいだろうと思ってここで待機していたんだ。ラファルも連れていってやってくれ。」
「ああ。」
言葉短くカルサは了承の答えを出した。
さあ行こう、そう思い顔を上げた瞬間に頭をよぎったことでカルサは動きを止める。
「カルサ?」
その行動を不思議に思ったのは貴未だけではない。
皆が見守るなか、カルサは沙更陣の方へ足を進め目の前で立ち止まった。
「どうかしたのか?」
「さっき尋ねるのを忘れていた…沙更陣、玲蘭華が水鏡の見で掟を破ったことを知っていたか?」
その言葉に動揺を見せたのはマチェリラと圭だけだった。
咄嗟に互いの顔を合わせその驚きを共有し目を泳がせる。
2人の様子からして古の民にしか知り得ない事なのだろうと予想したそれ以外の者は事情が分からず黙って様子を見守ることにした。
聞きなれない言葉を頭の中で繰り返しながら次の言葉を待つ。
「知っているよ。」
「その件で審議にかけられる予定だったことも?」
「知っている。」
隠さずに答えた沙更陣を前にカルサは目を細めて考える様に視線を下に向けた。
そこからすぐに言葉が続くかと思ったが、カルサは考えを深める為か口を閉ざしてしまったらしい。
突然生まれた沈黙に好奇心が抑えきれなかったのは皆同じだろうが、先陣をきって踏み込んだ人物がいた。
「なあ、マチェリラ…水鏡なんちゃらって何?」
「水鏡の見(みかがみのけん)よ。」
小声で尋ねる貴未にマチェリラはカルサたちから視線を動かさずに答える。