御劔 光の風3
貴未の言葉に日向は驚いた。

マチェリラは少し離れて二人を見ている日向にゆっくりと頭を下げる、慌てた日向も返した。

貴未の手招きに促され日向は二人との距離を縮める。

「俺は一人の力では飛べなかったから…自由に使えるまで時間がかかってしまった。」

「それで軌跡を失ったのね?」

貴未は頷いた。

不思議そうな顔をしている日向に気付き貴未は口を開く。

元々この力を使うには永という人物の力が必要だった、片翼と呼ぶに相応しい貴未と対になる力を持った女性。

二人揃うことで力を発揮する、二人で一つの翼としてずっとやってきたのだと。

失われた片翼を補うために貴未は何年も時間を費やし今に至っていた。

「日向さんが軌跡になったの?」

「ああ。」

貴未は日向の方を見て微笑んだ。

彼の持つ軌跡のおかげでここに辿り着き、そして今カリオへの軌跡を手に入れた。

カリオに行けば自分の願いもカルサの願いも叶う、そして永のことも進展があるかもしれない。

「でもよく力を補えたのね、どうして?」

マチェリラの疑問はもっともだった。

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