君の『好き』【完】
●第1章●
バスケ男子 吉井くん(鈴side)
「沙希ー!!やっぱ風間先輩、超かっこいいー!!」
高校に入学して、
バスケ部にかっこいい先輩がいるという噂を聞いて、
見に行ってから、はまってしまった風間先輩。
それから毎日のように、こうして親友の河原沙希(かわはらさき)と一緒に、
放課後体育館に通って風間先輩を見つめている。
「鈴(すず)、周り見なよ。
これ全員、風間先輩のファンだよ。
鈴も諦めたら?」
2学期になってもまだ体育館に通いつめる私に、
沙希は呆れたようにため息をついた。
「風間先輩、部長になったんだって、
もう、かっこよすぎるー!!」
少し汗をかいた茶髪の髪を揺らして、
ドリブルシュート........
「きゃーーーー!!!!!」
周りの女子たちが、一斉に騒ぎ出す。
すると風間先輩は、可愛く笑って、
その歓声に応えてくれるんだ。
「風間先輩って、自分がモテることわかってるっていうか、
ナルシストっていうか......」
「沙希!風間先輩のこと悪く言うな!」
「はいはい」
いいんだ、彼女になりたいとか、
そういうことじゃない。
ただ、かっこいいから見ていたい。
私にとって、風間先輩はアイドルみたいな存在なんだ。
沙希の他校の彼氏が、校門に迎えに来るまでのたった1時間。
これからもずっと、
私は毎日こうして沙希と一緒に、
風間先輩を見続けようと思っていた。
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