君の『好き』【完】
誕生日......
「そうなの?海くん、今日誕生日だったの?」
「あれ、やっぱ知らなかったんだ。なんだよ兄ちゃん言えよ!」
「言えるか!そんなの!」
海くんは髪をくしゃくしゃっとした。
「そんな.....言って欲しかった.....」
私が下を向くと、うしろから両肩を掴まれた。
「じゃあ、うち行きましょう!
ケーキ食ってってくださいよ」
「お前!触んな!」
海くんが宙くんの腕を引っ張った。
「あぁ、ごめんごめん。なんだよ、ヤキモチ??
かわいいとこあんじゃん。
じゃあ、先行って母ちゃんに伝えておくから!」
宙くんは、海くんの肩をぽんと叩くと、
家の方向へ歩いて行った。
「なんだよ、あいつ.......
ごめん、宇崎、気にすんな。
じゃあ、また明日な」
海くんが、宙くんを追いかけるように行ってしまった。
待って......
「海くん!!!」
私はダッシュで海くんを追いかけて、
海くんの腕を掴んだ。
「う、宇崎?」
海くんが振り向いて、ばっと目が合った。
「私.......海くんの家、行ってもいい?」