君の『好き』【完】
初めて入った海くんの家は、
とても温かい家だと思った。
カントリー調のリビング
お母さんと宙くんと海くんと、
途中からお父さんも帰ってきて、
みんなで、海くんの誕生日を祝って......
あったかい家族なんだなって、
こんなに楽しくて明るい家族の中で育ってきた人なんだなって、
海くんの人柄の理由がわかった気がした。
「兄ちゃんの部屋行ってみたら?」
ケーキを食べ終わると、宙くんが突然言い出して、
コーヒーを飲んでいた海くんがむせてしまった。
「お、お前さー!ちょっ、黙ってろ!!」
「あら、ちゃんと部屋片付いてるかしら、大丈夫?なんか変な物.....」
「変な物ってなんだよ!宙じゃねーし」
「いいか海、部屋に行ったからといっても今日は初日だ。いろいろと我慢しなさい」
「父ちゃん!バカじゃねーの?」
みんなして海くんをからかって、大笑いしている。
「ったく、なんなんだよ.......」
ちらっと、隣から海くんが私を見て目が合った。
「行く?」
「えっ」
「部屋」
「.......うん」
私が頷くと、海くんが立ち上がった。
「行こ」
「え、あ......ごちそうさまでした」
ニヤニヤしているお母さんたちに頭を下げて立ち上がると、
海くんの後を追いかけた。