君の『好き』【完】
海くんの後ろから、階段を上ると、
ドアが開いたままの部屋に、海くんが入っていった。
そっと部屋の中を覗くと、
ベッドの上にある布団がめくれているのが目に入ってきて、
変に意識してしまった。
「やべ、あんま片付いてないや......」
海くんは、ベッドの上の布団を直した。
「入れば」
入口のところで突っ立っていると、海くんが優しく微笑んだ。
「お、おじゃま.....します」
一歩部屋の中に入ると、男子なんだな.....と部屋の中を見てすごく感じた。
ベッドと机と本棚でいっぱいの部屋。
ベッドの上には、脱いだスウェットが無造作に脱ぎ捨ててある。
思ったよりも、ずっと片付いていたけど、
私の部屋と同じぐらい狭くて.......
座るところは、ベッド.......
「ごめん、狭いよな。気にしないでそこ座っていいよ」
気にしないで.....そっか、私ひとりで意識しすぎ......
そう思って、ベッドに腰掛けた。
「あ、そっち?」
「えっ?」
「いや、じゃあ......俺こっち座るよ」
海くんは机の椅子に、
背もたれを抱えるように、後ろ向きに座った。
もしかしてそっちに座れってことだったのかな.......
恥ずかしすぎる......
座りながら、自分のブレザーの裾をぎゅっと握った。
「なんか、ごめんな。
宙とか母ちゃんも父ちゃんも、宇崎がうち来たからテンション上がっちゃって.......
付き合ってないって言ってんのに。
なんか、ほんと......ごめん」