君の『好き』【完】
球技大会
球技大会という最悪な行事の朝、
「嫌だな......球技大会なんて。
私、ボール運動苦手」
電車を下り、学校まで歩きながら隣を歩く海くんに言った。
「あはははっ、そっか。
女子はバレーだっけ?」
海くんは両手をズボンのポケットに入れながら笑った。
「うん。男子はバスケだよね。海くんバスケ得意?」
「得意ってわけじゃないけど......」
「私、海くん応援するね」
「違うクラスなのに?」
あ.....そうか.......
海くんと目を合わせて、一緒に笑った。
「そうだ、あのさ。
明日から朝、先輩が稽古つけてくれることになって」
えっ.......
「2月に大会があるから。
俺、どうしても今度こそ優勝したいからさ。
だから、朝一緒に行けなくなる」
「そっか.....」
いつも一緒にいてくれたから、一緒にいられないと言われたら、
それだけで泣きたいぐらい寂しい気持ちになっている自分がいた。
こんなにも私の毎日が、海くんで埋められていたことに気づいた。
でも、海くんが剣道を頑張っていることを、
私は中学の頃から知っている。
優勝してほしい......
「大会って2月のいつ?どこでやるの?
私、応援しに行ってもいい?」