君の『好き』【完】
放課後、
沙希と教室で1時間話してから、
私は下駄箱で海くんを待つことにした。
「渡瀬くんの言うとおり、一度吉井くんと話した方が、
私もいいと思うよ」
下駄箱の前、沙希が靴を履きながら言った。
「いろんな意味で、けじめをつけなくちゃ、ね、鈴」
沙希は私の肩をぽんと叩くと、玄関の方へと歩き出した。
けじめをつける。
そっか......
自分の気持ちにけじめを......
しばらく下駄箱で海くんを待っていたら、
バスケ部の部員たちが下駄箱に歩いてきた。
その一番後ろに、吉井くんがいて、
私の前で立ち止まった。
「鈴、話させて」
吉井くんは真剣な顔だった。
ちゃんと、話しよう。
自分のためにも、海くんのためにも。
「うん」
バスケ部員たちが、玄関から出ると、
静かになった。
下駄箱前の大廊下。
少し下駄箱から離れて、壁際に二人で向き合って立った。
「俺、愛莉と別れようと思う」