君の『好き』【完】
海くんは優しく微笑んでいた。
そんな......
「私、さっき吉井くんと話したの」
「そっか」
海くんは、頷きながら話を聞いてくれた。
「吉井くん、海くんに感謝しているって言ってた。
まるで、亡くなったお兄さんに言われたみたいだって。
これからは、自分に正直に生きるって言ってた」
海くんは、下を向いて笑ってから、「そっか」と頷いた。
「彼女と別れるって、私が好きだったって、
付き合おうって言われた」
海くんはまっすぐ私を見つめながら、また頷いた。
「私、その時、海くんの顔が浮かんだの。
海くんのいろんな顔が......
だから私、吉井くんに、
私、海くんが......」
海くんが......
あれ.......私、その後何を言おうとしていたんだろう.....
「海くんが......
私、海くんが.......」
「放っておけない?」
えっ.......?
海くんは、少し首を傾げて笑っていた。
「それって、吉井が宇崎の告白を断った時の言葉と同じだね」