君の『好き』【完】
「えっ?」
お兄ちゃんは手まで叩いて大笑いした。
「あはははっ、そんなんで気づいてねーの?
バッカじゃね?」
「ば、バカってゆーな!!すっごく真剣に悩んでいるんだから!!」
なんだか泣きたくなってきて目をこすると、
お兄ちゃんが笑うのをやめて真剣な顔になった。
「あぁ、ごめん。悩んでたのか。
鈴。
好きって気持ちって人それぞれで色々だと思うけど、
俺の考えはさ、
鈴の海に対する気持ちは、バスケ部の時の好きって気持ちよりも、
ずっと深いんだと、俺は思うよ」
「深い???」
お兄ちゃんは、大きく頷いた。
その時、リビングのドアが開いて、お母さんが帰ってきた。
「あぁ、やっぱり鈴も帰ってた。
海くんと一緒だったんでしょ?
今まで海くんの家におじゃましていてね、
さっき海くんに会ったわよ~。
海くんすっかり男らしくなっちゃって、ますますイケメンになっちゃったわね。
海くんモテるでしょ?
鈴をよろしくねって言ったら、ニコってかわいく笑って頷いてくれたわよ」