君の『好き』【完】








それから夕御飯を食べ、自分の部屋に入り机の椅子に座った。



引き出しを開け、奥にしまっていた吉井くんからもらったキャラメルの箱と、

吉井くんにあげようとしたバスケットボールのキーホルダーを出し、


両手の上に乗せた。



最初は机の上に飾るように置いていたんだけど、


いつからだろう、引き出しの奥にしまったのは.......




もう、吉井くんと一緒に食べることはない。



もう吉井くんに渡すことはない。




ぎゅっと握ってから、また引き出しの奥にしまった。




吉井くんとのことは、思い出として心の奥にしまおう。


ずっと好きだったって言われたことも、


付き合おうって言われたことも、



全部、しまう。



そして、もう開けない。


もう振り返らない。




ずっと海くんのそばにいたいって思うから。







【鈴の海に対する気持ちは、バスケ部の時の好きって気持ちよりも、


ずっと深いんだと、俺は思うよ】





深い......




私はすぐそばのベッドにゴロンと仰向けに寝転がった。



海くんへの気持ちを考えていたら、海くんに会いたいと思った。



目をつぶると、海くんの笑った顔がすぐに浮かぶ。



会いたい、海くんに。


会って、この気持ちを確かめたい。
















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