君の『好き』【完】
次の日の早朝、
いつもよりもずっと早く起きて、
学校の準備をし玄関を出た。
まだ外は少し薄暗くて、冬の冷たい空気を感じながら、
近所の公園に向かった。
「寒いぃぃぃ......」
ベンチに座ると、ますますひんやりと冷えて、
ブレザーのポケットに両手を入れて背中を丸めた。
朝練に行く海くんを待ち伏せしようと思ったんだけど、朝練が何時からかわからなくて、
とにかく早めに公園で待つことにした。
「ちゃんと会って、気持ちを話して......」
ぶつぶつと独り言のように話しながら、しばらくベンチで海くんを待った。
でも、なかなか公園の前を通る気配がなくて、
だんだんと不安になってきた。
もっと、早くに出ていたのかな......
ものすごく寒くて、震えながらポケットから手を出し、腕時計を見て顔を上げた時、
公園の前を海くんが通った。
「海くん!!」
私は両手をポケットから出して、ベンチから立ち上がった。
海くんはパッとこっちを向いて立ち止まった。
「宇崎?」
海くんは、公園の中に走ってきた。