君の『好き』【完】
友達と彼氏
次の日の朝も、朝練の海くんの時間に合わせて、
一緒に学校へ行った。
そしてまたひとりで教室に行き、
昨日と同じように、時間を潰していた。
生徒たちが何人か教室に入ってきて、
廊下にも人が集まってきて、なんだか今日は少し騒がしい朝だと思った。
なんか、あったのかな......
気になりながら、自分の席で頬杖をついていると、沙希が走ってきた。
「鈴、吉井くんが事故った」
え
沙希が何を言っているのか、さっぱりわからなくて、
頭の中が真っ白になってしまった。
「昨日から吉井くん、チャリ通に戻したみたいで、
さっき、駅前の交差点で車にはねられて、
救急車で運ばれたんだよ!」
なに.......なに言ってんの........
「嘘でしょ........
嘘だよ、絶対に嘘.......」
「嘘じゃないって!
私、見ちゃったんだよ、吉井くんが救急車に乗せられるところ。
通学路からすぐだったから、見た人結構いて……
私、鈴に教えなくちゃって走って……」
沙希……何言ってんの……
「嘘だよ……吉井くんはすぐに来るよ。
おはよって、隣の席に......
吉井くんは来る、絶対に.......
絶対に来るよ!!!!!!」
沙希に背中を摩られても、体の震えが止まらなかった。
「どこの病院に運ばれたか知っている子に聞いてくるからね。
鈴!!しっかりしなよ!!」
沙希は私を置いて、いろんな生徒たちに聞いて回っていた。
嘘だよ......そんなの絶対に嘘だよ......
早く来てよ吉井くん.......
自分の両腕を掴んで、体の震えを抑えていると、
沙希が戻ってきた。
「駅の反対側にある○○総合病院だって」
吉井くん……
私はすぐにリュックを背負うと、教室から飛び出した。
廊下を走って、階段を駆け下りて、
「宇崎!!」
下駄箱前の大廊下で海くんに呼ばれて立ち止まった。