君の『好き』【完】
「海くん......」
海くんがダッシュで私の元に来た。
「どうした?」
心配そうに顔を覗き込んできた海くんの顔を見て、我慢していた涙がこぼれ落ちた。
「どうしよう......海くん......
吉井くんが、車にはねられて救急車で運ばれたって.......」
海くんはハッとして私の手を握ってきたから、私はその手を両手で掴んだ。
「どうしよう.......!!
吉井くんが.......
吉井くんも、お兄さんのところに行っちゃったら.....!!!」
「宇崎!!そんなこと言うな!!!
病院は?どこの病院か知ってんの?」
「駅の反対側の○○総合病院」
「行くぞ」
海くんは私の手をぐっと引っ張って、私を下駄箱のところへ連れて行った。
ずっと海くんに手を引かれて、海くんの背中を見ながら病院へと一緒に走った。
怖くて、怖くて海くんの手を強く握り締めた。
病院の敷地内に入ると、見覚えのある女の子が院内に入って行くのが見えた。
愛莉さん......?
「海くんあの子!吉井くんの幼なじみ!」
私が指差すと、海くんは走る速度を速めた。