君の『好き』【完】
「ち、ちびって!そんなはっきり言わなくたっていいじゃん!」
ぷくっと頬を膨らませながら私も自分の席に座り、吉井くんをじろっと横目で睨むと、
吉井くんは椅子の背にもたれてこっちを向いた。
「ありがとな、病院来てくれて」
「えっ......」
吉井くんが、急にそんな優しいことを言うから、
睨むのをやめると、吉井くんは目を細めた。
「母さんが、ごめんって......退院した日に謝ってきたよ」
お母さんが......そっか......
「私、言いすぎちゃったかなって、気になってて......
でも、お母さんがわかってくれてよかった」
吉井くんは少し俯いて、包帯の手を見つめていた。
「俺、車にはねられた時さ、5メートルぐらい吹っ飛んだんだよ」
「え!!ご、5メートル????」
吉井くんは、ははっと私に笑って、また俯いた。
「すげースローモーションみたいな感じでさ、俺飛んでるーみたいな。
やべー死ぬーって。
でさ、その時、
お前の顔が浮かんだんだよ」