君の『好き』【完】
「宇崎......」
あ......私、何心配してんだろう。
彼氏以外の人のことを......
「吉井が心配?」
「えっ」
海くんは、下を向いて笑った。
「心配......だよな。
宇崎の気持ち、わかるよ。
でも......
まぁ、いいや。
じゃあ.....俺、部活行くから」
海くんは、少し切なそうに笑ってから、階段を下りて行った。
私は吉井くんを追いかけるのをやめて、教室の中に戻った。
【お前の顔が浮かんだんだよ】
ふとその言葉を思い出し、胸がズキっと痛んだ。
手助けすることを、拒む吉井くん。
吉井くんを追いかけようとした私に、
切なく笑う海くん。
私の行動は、間違っている。
私は、海くんのことだけを考えていなくちゃ。
私は、間違っている。
何度も言い聞かせながら、海くんの部活が終わるのを待った。