君の『好き』【完】
沙希が帰ってから、ひとりで海くんを待っていると、
いつもよりも、勢い良く教室のドアが開いてびっくりした。
はぁはぁはぁと、開いたドアに手をついて息切れしている海くん。
「海くん?」
私は急いでリュックを背負って海くんの元に走った。
そして海くんのところに着いた瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
「海くん......?」
海くんの心臓がものすごく早くて、息も苦しそうで、
どんなに走ってきたんだろうって思った。
「いないかと……思った......」
いないって........
そんな風に海くんに思わせてしまった自分の行動を、ものすごく後悔した。
「ごめんね、海くん。
ごめんね......」
私が謝ると、海くんがもっとぎゅっと抱きしめてきた。
「謝るな。
宇崎は、何も悪くない」
しばらく抱きしめられて、だんだんと海くんの呼吸が落ち着いてくると、
そっと肩を押されて海くんが私から離れた。
「帰ろ」