君の『好き』【完】







沙希が帰ってから、ひとりで海くんを待っていると、



いつもよりも、勢い良く教室のドアが開いてびっくりした。





はぁはぁはぁと、開いたドアに手をついて息切れしている海くん。



「海くん?」



私は急いでリュックを背負って海くんの元に走った。



そして海くんのところに着いた瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。



「海くん......?」





海くんの心臓がものすごく早くて、息も苦しそうで、



どんなに走ってきたんだろうって思った。




「いないかと……思った......」




いないって........


そんな風に海くんに思わせてしまった自分の行動を、ものすごく後悔した。




「ごめんね、海くん。



ごめんね......」




私が謝ると、海くんがもっとぎゅっと抱きしめてきた。




「謝るな。


宇崎は、何も悪くない」





しばらく抱きしめられて、だんだんと海くんの呼吸が落ち着いてくると、

そっと肩を押されて海くんが私から離れた。




「帰ろ」










< 152 / 205 >

この作品をシェア

pagetop