君の『好き』【完】
気づく想い
次の日。
いつも土曜日はだいたい4時頃にメールが来るから、
その時間に合わせて、
学校の駅で海くんを待ち伏せして驚かせようと出かける準備をした。
今は1時半。
今から家を出て、駅ビルでクリスマスプレゼントを選んで、
3時半ぐらいから駅で待ち伏せすればきっと会える。
そう思いながら、家を出て駅へと向かった。
学校の駅に着き、駅ビル内を回ってクリスマスプレゼントを探した。
海くんと一緒に帰るようになってから、あまり行かなくなった駅ビル。
久しぶりに来て、お兄ちゃんのパーカーを買ったお店の前でふと立ち止まった。
あの日......
吉井くんを思い出しそうになり、首をぶんぶんと振って、
少し走ってその前を通り過ぎた。
いろんな店を見て回ってもなかなか決まらなくて、
どんどんエスカレーターに乗って、
もうこの上はレストラン街だよ.....という階に、大きな手芸屋さんがあった。
一応中に入って見ると、クリスマスプレゼント用に手編みのキットがたくさん売っていた。
手編みか......私にできるかな.....
初心者でも簡単!
7日で完成!
本当かな.......
白くて太い毛糸が5個入ったマフラー用のキットを持って考えた。
海くんは白って感じだな。
海くんが制服の上に白いマフラーを巻いている姿を想像してみた。
見てみたいかも......
挑戦してみよう。わからなかったらお母さんに教えてもらえばいいし。
うん、頑張ろう。これに決めた。
私は自分に頷くと、キットを胸に抱えてレジへと向かった。