君の『好き』【完】




月曜日の早朝、



朝練に行く海くんは、いつもの海くんと同じで、

少しホッとした。




隣の席に座った吉井くんも、いつもと同じで、


私も何も変わらない態度でいようと思った。


避けるのもおかしいし。



怪我しているんだから、何かに困っている時は、助けてあげるべきだと思うし。



本当はそういうことも、しちゃいけないんじゃないかって思ったけど、


友達が怪我した時のことを思うと、助けるのは当然で、


変に意識する方がおかしいって、思うようになった。






「やべ、包帯解けた」






放課後、




足の包帯が解けかかって、ビロビロになっている足を

隣の席で吉井くんが眺めていた。



吉井くんが「ちょっと椅子貸して」と言うから、


私が立ち上がると、私の椅子に包帯の解けた足を乗せて、


くるくると包帯を取り始めた。



「やってあげようか?」



「いいよ、自分でやるから」




吉井くんは私を見上げて笑うと、またくるくると包帯を取って、


取り終わると、ギプスに巻き直し始めた。





でも、なんだかぐしゃぐしゃで.......


「ねぇ、やろうか?」




吉井くんは、巻くのをやめてまた私を見上げて笑った。



「やっぱやって、俺できねぇ」

















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