君の『好き』【完】
部屋に入ると、
瞬はバッグを床にドサッと置いた。
広い背中.......
思わずその背中にぎゅっと抱きついた。
「瞬......」
名前を呼んでも、瞬は何も言わずにただそのまま突っ立っていた。
「キスしよう......瞬」
背中に抱きついたままそう言うと、
瞬は自分のお腹に回った私の手首を掴んでほどいた。
「何言ってんだよ......」
私は瞬の前に回って下から顔を覗き込んだ。
「キスして......お願い......」
瞬はパッと目をそらした。
「誰に言ってんの」
「私、瞬が......」
そう言った瞬間、瞬は私の顔を睨んだ。
「愛莉、落ち着け」
「落ち着いてる!私.....
もう、瞬がいないと生きていけない......」
瞬は下を向いて、
深いため息をついた。
「愛莉.......
俺、愛莉の気持ちの整理がつくまで、
支えてやりたいと思ってる。
でも、こういうやり方で支えたくはない。
俺は愛莉の彼氏じゃない。
俺は、類の弟だ」