君の『好き』【完】
階段を勢いよく駆け下り、下駄箱前の大廊下に出ると、
吉井くんを見つけてその前に立ちはだかった。
「鈴......」
「ねぇ、切るっていうことは、もう全く話さないってこと?」
吉井くんは少し考えてから「うん」と頷いた。
「そんな......もう赤の他人みたいな?」
「うん」
「無視?私が話しかけても無視?」
「だから、話しかけてくんなって」
「そんなことできないよ!」
だれもいない大廊下に私の声が響き渡った。
私は吉井くんの腕を掴んだ。
「普通に友達でいられないかな......」
そう言うと、松葉杖がガタンと床に倒れ、
その瞬間ぎゅっと抱きしめられた。
「友達でいられるなら、こんなに苦しまねぇんだよ。
なんで追いかけてきたんだよ。
なんでだよ......」
抱きしめていた力が緩まると、吉井くんは私の頬を撫で、
ふっと顔を近づけた。
「宇崎!!」