君の『好き』【完】
ひとり
袋を抱えて自分の部屋に入り、ベッドに腰掛けた。
袋を床にポンと落として、自分の膝の上にある手を見つめた。
海くんからもらった白い手袋。
どうして別れ際に渡したんだろう。
【すっげー冷てぇじゃん、いつからいたんだよ】
海くんの手に温められた日を思い出した。
初めて手を繋いだ時
初めてキスした時
いっぱい優しくしてくれて
いっぱい幸せにしてくれて
それなのに私は、好きって気持ちもわからなくて.......
手袋のまま両手で顔を覆った。
こんなに好きなのに、こんなに好きだったのに、
どうしてわからなかったんだろう......
どうして傷つけるようなことをしてしまったんだろう......
私の心が弱いんだ。
流されて、
何が一番大事かを見失って.......
勝手で、弱すぎて、
こんな私は、海くんに嫌われて当然だと思った。