君の『好き』【完】

 私の好き





2月9日  大会前日




夜、部活帰りの海くんに話したいことがあって、


公園で海くんの帰りを待った。




寒いけど、手袋がすごく温かかった。


ベンチに座り、両手にはぁと白い息を吹きかけた時、



公園前を防具袋と竹刀袋を左右の肩にかけた海くんが通りかかった。



「海くん!」




海くんはこっちを向いて立ち止まった。




「明日、剣道頑張ってね。



絶対、海くんなら優勝できるから」





ベンチから立ち上がって、道路にいる海くんに話しかけると、


海くんは少し考えてから、「ありがとな」と笑った。





「明日、応援しに行ってもいいかな.......」




海くんは防具袋を肩に掛け直した。




「来るな、絶対に。



来ないで欲しい......じゃ」



海くんは前を向いて歩いて行ってしまった。





そんな.......


私はベンチに座り込んだ。



来ないで欲しいんだ......そっか。



涙が溢れて、手袋のまま目を抑えた。




もうダメかな......もうダメなのかな.......














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