君の『好き』【完】





駅へと走って走って、駅の手前でまた転んでしまった。



短いスカートだから、膝から流血しているのが生々しく見えた。




もう、いっつも肝心な時に.....



改札を通って、ホームのベンチに座って、


リュックの中からポーチを出した。


ティッシュで血を抑えて、軟膏をぬって、絆創膏を貼ったんだけど、

傷の方が大きくて、小さな絆創膏では覆いきれなかった。


血は止まったから、まぁ.....いっか。


そう思った時、電車がホームに入ってきた。





学校の駅に着き、西口に向かった。




何番のバス停だったっけ......



駅前ロータリーをウロウロしていると、


制服姿の吉井くんとばったり会ってしまった。





「鈴......」




久しぶりに吉井くんとちゃんと向き合った気がする。




「吉井くん、武道館って何番のバス停から出るバスに乗ればいいか知ってる?」



吉井くんが「確か.....」と歩き出したから、その後をついて行った。



「あぁ、あれだ、3番だ」



吉井くんが指さした時、3番のバス停からちょうどバスが出て行ってしまった。
















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