君の『好き』【完】
隣の席 (鈴side)
次の日の朝、
窓際の一番後ろの自分の席に座ったら、
吉井くんが教室に入ってくるのが見えた。
ドサッとロッカーの上にバッグを置くと、
私の隣に座ってきた。
「おはよう、吉井くん」
彼女がいたって、挨拶ぐらいいいよね。
普通.....だよね。
吉井くんはちらっと私を見て、
「おはよ」
そう小さく挨拶してくれて、ちょっと嬉しくなっている自分がいた。
そのまま机の上に置かれた腕を見ると、
やっぱり手首にブレスレットとリング。
あれ、薬指から血が......
「吉井くん、指から血出てるよ???」
「ん?」
吉井くんはぐっと手を顔に近づけて、
指を見つめた。
「あぁ、さっき下駄箱でぶつけた」
「下駄箱?ちょっと待って」
私は椅子の背にかけていたリュックからからポーチを出して、
中から軟膏と絆創膏を取り出した。
「手、見せて」
「あぁ、いいよ」
「いいから」
思わず左手首を掴んで自分の方へ引き寄せると、
指輪がプランと揺れた。