君の『好き』【完】
海くんが頭を抱え込んでしまって、どうしようかと思った。
「海くん......怒ってる?」
「いや、そういうことじゃなくて」
「じゃあ、返事聞かせて……」
「返事?」
海くんは頭から手を離して、前かがみのまま真っ赤な顔で私をチラッと見た。
「もう一度、私を海くんの彼女にしてほしい」
「あぁ.....そっか」
海くんはまた下を向いた。
そして少し考えてから体を起こして、私の顔を真剣な表情で見つめてきた。
「信じるって言ったのに、宇崎を信じることができなくてごめん」
私は大きく首を振った。
「私がいけなかったんだよ。私が全部......全部悪い」
私が俯くと、海くんが私の手を繋いできた。
「宇崎をもう一度信じる俺を、信じてくれる?」
信じてくれるって、そんな......
「それは私の台詞だよ。海くんを信じるなんて、そんなの当たり前だよ。
信じてほしいのは、私の方だよ」
海くんは繋いだ手をぎゅっぎゅっと軽く振った。
「じゃあ、お互い様だ」
海くんの言葉に、はっとして顔を上げると、海くんはかわいく微笑んでいた。
そんな風に言ってくれるなんて、
海くんの優しさに、また涙があふれた。
「もう一度、俺の彼女になってほしい」
まっすぐ私を見つめながら言った海くんに、大きく頷いて泣きながら笑うと、
手を繋いだまま海くんの顔が近づいてきて、
ぎゅっと目を閉じた。
ふっと唇が触れると、また離れて、
目を開けると、目の前に伏せ目がちの海くんが見えて、
また角度を変えて、唇を塞がれた。
何度もそれを繰り返して、
深く求められた時には、
もう何も考えられなくなった。