君の『好き』【完】
ずっと
次の日の朝。
待ち合わせは、10時に公園。
昨日の夜は、ドキドキして楽しみすぎて、
あまりよく眠れなかった。
今だって、もう早く会いたくて会いたくて......
「なんだよ鈴、デート?」
待ち合わせまで、まだあと1時間もあるけど、
もうリュックを背負ってリビングでそわそわしていたら、
お兄ちゃんがリビングに入ってきた。
「うん。もう早く10時になんないかな......」
「あはははっ、近所なんだから家に上がり込んじゃえよ」
お兄ちゃんはソファーにどかっと座った。
「そういうわけには行かないよ」
「まぁ。部屋に行ったらそういう雰囲気になって、海が暴走しそうだから、
うん、10時まで待て」
「うるさいなぁ!海くんは暴走なんかしないよ!お兄ちゃんとは違うんだから!
もう、うるさいから公園行く!じゃあね」
「襲われないように気をつけろよー」
「海くんは襲ったりしない!!」
バタンとリビングのドアを閉めて、玄関から外に出た。
すごく天気は良いけど、風が冷たい。
私は手袋はめて、公園へと向かった。
公園のベンチに座って腕時計を見ると、
さっきから5分しか経っていないことにがっかりした。
早く10時になればいいのに......
早く海くんに会いたい......
そう思っていたら公園の前を宙くんが通り過ぎた。
「宙くん!」