君の『好き』【完】
本当にいいのかな......
そっと中を覗いてみると、窓際にあるベッドの上の布団から、
海くんの髪が見えた。
「海くん」
ドアのところから小さな声で呼んでみたけど、全然起きる気配がなくて、
そっと部屋の中に入ってドアを閉めた。
ドアの横に机、目の前の窓の下にベッド。
ベッドの前の床にしゃがんで、布団の中を覗き込んだ。
海くんは布団に潜り込んで寝ていて、ふわふわの髪しか見えなかった。
そっと布団を下げて海くんの顔を出すと、本当に爆睡していて、
その寝顔があまりにもかわいくて、
すべすべの頬をつんつんと触ってしまった。
すると海くんはまた布団の中に潜ってしまって、顔が見えなくなった。
あれ......
もう一度布団をそっと下げると、海くんがゆっくりと目を開けた。
「鈴.......」
えっ......今、名前.......
「海くん?」
海くんはまた目を閉じてしまった。
「ん......ん?.......ん?????」
海くんはパチっと大きな目を開いて、覗き込んでいた私と至近距離で目が合った。
「えっ!!!」
海くんはガバッと布団から起き上がって、窓際の壁に背中をくっつけてベッドの上に座った。
「あれ.....???なんで???えっ????」
海くんは寝癖でくしゃくしゃな髪をもっとくしゃくしゃにして、頭を抱えた。
海くんは完全に寝ぼけていた。
「なんで、宇崎がいんだよ......」