君の『好き』【完】
ぎゅっと腕にしがみついていたら、
「鈴......」
頭の上から海くんの呼ぶ声がして、
嬉しくなって顔を上げると、
海くんはこっちを見ないで、私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
嬉しくて幸せで、腕から手を離して、
ちょっと起き上がって海くんの首元に抱きついた。
「うわっ!なんだよ!名前呼んだら離れるって言っただろ!」
「離れない!」
「離れろって!こら!」
海くんがぐっと私の腕を解いて、私を隣に座らせた。
「こんなことされたら俺......
俺、男なんだぞ!わかってんのか???」
私は「うん」と頷いた。
「わかってねぇーよ......
ここで待ってろよ。
俺、下行って出かける準備してくるから」
海くんはベッドから下りて立ち上がり、また髪をくしゃくしゃっとして、
なんだかイライラしていた。
「怒った?」
ベッドの上から海くんを見上げると、海くんは少し屈んで、
私の座っている横に手をついて、ぐっと顔を近づけてきた。
「怒った」
そう言って睨むように私を見て、唇を押し当ててきた。
なんだかいつもの海くんと違って強引で......
ふっと唇が離れると、海くんは寝癖の髪をいじりながら、
部屋から出て行ってしまった。