君の『好き』【完】
エスカレーターから降りると、
パシッと絆創膏の貼られた手を掴んで、
駅構内の柱まで瞬を引っ張った。
そして、柱のところでその手を瞬の前に突き出すと、
私は下から瞬を睨んだ。
「なにこれ」
瞬は私の言葉に「何が?」とちょっと嫌そうに答えた。
「誰の絆創膏?」
「あぁ、隣の席の子」
「女の子?」
「だったらなんだよ」
「剥がして。今すぐここで剥がして」
「はぁ?」
瞬はパッと自分の手を私から離すと、
ズボンのポケットに両手を突っ込んだ。
「愛莉には関係ないだろ」
「関係ある!嫌なの!
瞬が他の女子と話したり、仲良くするのが!
嫌!絶対に嫌!!」
「愛莉........」
どうしても嫌。
絶対に嫌........
悔しくて悔しくて、涙がとめどなく溢れた。
「そんなんじゃ、もう俺......愛莉のそばにいられないよ。
しばらく会うのをやめよう」