君の『好き』【完】
●第2章●
ブレスレット
次の日の金曜日。
「指、大丈夫?」
朝、隣に座った吉井くんに声をかけた。
吉井くんは「あぁ」と言って、
絆創膏のない手を見せてきた。
「大丈夫だよ、ほんとありがとな」
ははっと、目を細めて手を自分の机の上に戻した。
やっぱり今日も手首には、ブレスレットとリング......
あの、綺麗な彼女とお揃いなのかな......
あ、彼女いるのにあんなハートの絆創膏、
大丈夫だったのかな.......
「吉井くん」
「ん?」
吉井くんは机の上にある腕を、膝の上に下ろして、
こっちを向いた。
「昨日、あんな絆創膏を貼って......
彼女に怒られなかった?」
吉井くんは、「彼女?」と首を傾げた。
「彼女なんていないけど」
「えええっ!う、うそだ!」
「はぁ?」
「だって、私見たんだから!
駅で綺麗な女の子と歩いているの......」
そう言って口を尖らせ、吉井くんから目をそらすと、
吉井くんはぐっと下から私の顔を覗き込んだ。
「なんで怒ってんの?」