君の『好き』【完】









「鈴!!」




淡いピンクと底の部分が焦げ茶色のリュックを背負った、



小さくて華奢な、鈴の後ろ姿。



栗色の緩く巻かれた長い髪をふわふわと揺らしながら、



下を向いて改札に走って行ってしまった。






「瞬......」



愛莉に呼ばれて、隣を見ると、


愛莉は泣いていた。





「私、時間かかるかもしれないけど、


類の代わりじゃなくて、ちゃんと瞬を好きになるから。




だから、そばにいてよ......





私、瞬がいないと生きていけない...


類がいなくなって私......辛い......



毎日毎日、類のところに行きたいって思っちゃう。




だからお願い、そばにいて......」






泣きながら俺のワイシャツの袖を掴んだ愛莉。



俺は駅の高い天井を見上げた。






類......俺はどうしたらいいんだよ......



お前の大切な愛莉を、どうしたらいいんだよ......





お前が一生守るんじゃなかったのかよ......







だから俺......愛莉を諦めたんだろ........
















< 47 / 205 >

この作品をシェア

pagetop